─── ここに通っている園児はみんな秩父の子ですか?
葭田さん:いえ、秩父の子に限らないんです。今は、寄居、深谷、一番遠くだと川越からも通っています。※川越は車で1時間半近くかかる距離
─── すごい!
葭田さん:あとは、秩父に移住してきた家族の方も多いです。練馬区やさいたま市、横浜市からも!
─── ぼくもこのインタビュー前にいろいろ調べたんですが、保育園やようちえんを選ぶ一番のポイントって「自宅からの距離」なんですよね。
葭田さん:なるほど。私は本当、いろんな園を見てほしいっって入園を決める前に話しています。
園によって大事にしているものが全然違いますし、子どもに対して、何を大事にしてもらうかがとても重要。
近いから選ぶ、という考え方だと、集まる保護者のモチベーションもかなり違います。
多様性を認め、共存する道を模索するということ
─── 日本て「ことなかれ主義」が浸透している国で、リーダーとか役員とか、そういうのにほとんど手を上げない。でもここでは保護者みんなのモチベーションが高く、先生と一体になって子どもを育てていくっていう雰囲気を感じられます。
葭田さん:生きる力をつけるためには、生きる力をつける環境が必要です。
それは受験で合格することでも点数を取ることでもない。どういう人になって、この複雑な世の中を生きていくには何が良いか、必死に考えた結果、今の花の森こども園の方針があるんです。
人は人と関われなければ生きていけません。人と自然の中で関われる環境にいられるかどうか。
そういうことを考えると、生きていく力をつけるために、汚れやけがを案じて外遊びをしないとか丁寧に管理してあげるとかでは、そういう人を育てていくのは難しいと思うんです。管理された環境の中では、優劣でしか存在意義を感じられなくなる。
ここの子どもたちは、人やこの世界が好きなんです。他の子たちをリスペクトします。友だちのすごい所を認めていけるのは素晴らしいこと、本当に他人を妬まないんですもの。
─── 確かに。人を蔑んで自分が優位に立つというやり方もあります。でも、他人を尊重して生きるというのが、子どものころからできるのがすごい。
葭田さん:私たち大人もそうなんです。一人じゃできないから、この園も成り立っています。
とにかく、多様性を認めることが大事。大人は他人を尊重をせず、みんな一様にしようとしてしまいがちだと思うんです。
─── なるほど。すごいわかります。でもこの考えがうまく浸透しないと、これからも人々は生きずらいと思うんですが、なかなかこの考えが理解されるかと言ったら、そうでもないかもしれません。
葭田さん:そう、浸透はしずらいけど、でもちょっとしたボタンの掛け違いなんだと思うんですよね。このことに気づき、体験出来たら、もう前のような考え方には戻れない。
人に疑心暗鬼であることや、常に緊張している状態から解放されて生きていけるんだから、こんなに幸せなことはないと思うんです!
ここでも喧嘩も意地悪もある。全部ここにはあるんです。でも弱虫とどう戦っていくのか、勇気を学べる。
あいつは弱虫だとか遅いとか、そういうことは言わなし、排除しない、それがこの場所の特徴なんです。
─── 他の理解と尊重。そういう生き方が、これからのグローバルな世の中で生きていくために本質的に必要なことと思います。
葭田さん:そうでしょ!自分たちの考えだけで行動したら、いろんな可能性や知恵を手放すことになる。それはもったいないこと思うんです。
─── 逆に、ここで学んで自ら切り開くということを覚えると、小学校とか中学校とかに入った時(決まった環境、教育、評価など)の場所に入ってしまうと、苦労した入りしませんかね?
葭田さん:それは確かに一理あります。管理教育に入ると、一回苦しむかも、とは思います。
でも、ぶれないで生きていけると思う。やがて中学、高校になって進路とかを自分の考えで選択する必要があるとき、自分をもって変わらずにいられる。それに期待しているんです。
─── そうですね、貫ける力が社会では一番強いですからね。
葭田さん:実際、教育の現場でも先生たちが期待しているのは、そういう自分を持ち貫く力を持った子こどもです。
─── ロボットとかAIが発達していくと、職業がなくなるという話もあります。そういったことに対し、このようちえんではどのように考えられますか?
葭田さん:感情とか想いとかはロボットには、出来ないじゃないですか。
感情って「冷静な」とか「科学的な」とかの対局にあるようで、みんな認めたがらないけれど、社会でいろんな判断をする時に実はそれがすごく影響しているんです。 だから心が大事だと私は思います。
日比谷高校の入試問題で、ドラえもんはどうして生物ではないかって問題があるんですが、子どもを産まない、この状態から在る、だからドラえもんは生物ではないと。
私たちは自然の一部であることはもう考え方の違いとかではなく、事実。間違いない話なんですよ。これは生命の再生産活動なんです。
─── 生きるという観点では、自然の中で生み出し消費していくというのは至極シンプルな話ですよね。そんな生命の再生産活動がこの園ではうまく回っているように見えます。
葭田さん:はい、私たちも子どもにどんどんいろんなことを任せるようにしています。
そして、ここの子たちは頼るに値するだけの判断ができるんです。
親の前では甘えるけど、この場所は社会的な場所。それを子どもたちが理解しているんです。
だから、私と子どもたちは社会的関係。合理的なことや意義のあることを中心に一緒に動いています。
─── なるほど、社会ってやることに対して意義がばければいけない。すごく共感できます。そろそろ時間ですね。最後に、花の森こども園からのメッセージをお願いします。
葭田さん:ここは、子どもと一緒に大人も育てる場所。だから一緒に自然の中で、子育ちをしましょう!
葭田さんはすごくまっすぐ前を向き、子どもたちの将来にひたすら向き合ってきた結論が今のこの園にそのまま表れていると感じました。
その場所に集まる人たちは、大人もこどもも実に自然の中で感じられらる喜びにあふれた表情をしていました。
花の森こども園では随時、園児の入園を受け付けています。
体験入園なども行っているようなので、興味のある方はぜひ一度ご連絡してみてはいかがでしょうか?
葭田 あきこ さんのプロフィール
秩父生まれ、東京家政大学短期大学部保育科卒、
日本女子大学家政学部児童学科卒業後、埼玉県に奉職
退職し八王子にて三年陶芸の弟子入り、焼き物に20年携わる
花の森こども園開設に関わり現在に至る
「花の森こども園」の概要はこちら
スポット名 | NPO法人 花の森こども園 |
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ジャンル | ようちえん |
住所 | 埼玉県秩父郡皆野町皆野4048-1 ムクゲ自然公園内 |
アクセス | 国道140号線を西武秩父駅付近から皆野方面へ約15分 |
連絡先 | 0494-62-4545(平日10:00~16:00) |
参考サイト | 公式サイト Facebookページ |
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