【ちちぶの人インタビュー 丸信:若林 樹好さん】「なにも無いことが秩父の魅力」移住促進にかける想い


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こんにちは、編集長のあざみっくすです。

先日記事を公開しました、皆野町の「丸信」。
こちらのオーナーの若林さんは、お店とは別に移住促進の活動を個人で行っていらっしゃいます。

多くの人が、「行政が動かないと活動ができない…」と行動を起こせない中、個人でも移住促進をしていこう!と動いている若林さん。これからの秩父を更に活性化させていくのは、こういった活動なのかもしれません。

今回は、そんな若林さんにお話を伺ってきました!

 

―――若林さんは「丸信」のお店をやりながら、移住促進の活動を”個人”でやられているとのことですが、具体的にはどのようなことをされているのですか?

秩父への移住を考えている人に対し、秩父を案内したり、移住をした方のアフターフォローとして、地元の人との交流の場を作ったりと、そういった活動をしています。

一方で、地元に対しても、空き家の情報を集めたり、コミュニティを作ったり、移住者を受け入れる体制を整えることも行っています。

最終的は、皆野町にある空き家を「賃貸物件」として貸せるようにしたいなと思い、行政に対しての働きかけもしています。やはり、移住を検討するにもいきなり住宅を”買う”、というのはとてもハードルが高いですからね。もう少し、気軽に遊び感覚でも秩父の生活を体験してもらいと思っています。

 

―――なるほど。それにしても、”個人“でというところが非常に興味深いです。どうやって移住者の方とつながっているんですか?

東京の出版社が発行している「ふるさとネットワーク」という雑誌の個人的なつながりや、地域の議員さんや仲間経由で、移住希望者を紹介してもらい、現地の案内をしています。

若林さんが活動の連携をしている「ふるさとネットワーク」

若林さんが活動の連携をしている「ふるさとネットワーク」

 

―――移住検討者の方を案内するときに、どのような点をお伝えしているんですか?

ちゃんと「リアルな情報」を伝えるようにしています。

 

―――リアルな情報、ですか。

はい。たとえば、このあたり(皆野町三沢地区)の水道って簡易水道なんです。地元の人たちで水道組合を作って、浄化槽を共有しているんですね。なので、水道から水が出るようになるには、組合に入ってもらったり、協力してもらう必要があります。

そういったことを知らないで移住をして、後から事実を知ったところで戸惑ってしまうだけです。細かいことですが、このようなこと(少し面倒なこと)もしっかりと伝えることにより、移住後のギャップをなくすように意識しています。

 

―――なるほど、都会の生活に慣れた人では、想像もできないようなことかもしれませんね。

私自身も東京に長く住んでいたので、東京ではやらなかったこと(行政で勝手にやってくれていたこと)を、自分たちでやらなければいけない、ということを経験し、初めてその大変さが分かりました。
だからこそ、移住後のギャップは極力減らしたいと思っています。

例えば田舎暮らしに対し理想だけを持っていて、老後のことを考えていない人も結構いるんです。実際、山奥で自分の家以外に民家が無いようなところは本当に大変。
歳をとってから、そういう場所で暮らすのは容易ではないです。

そもそも人ってそんなに順応力を持ってないですからね。いきなり、大自然にぽんっと入っても、長くは居られないし苦労するものです。

 

―――若林さんはいわゆる、現地案内人という立場なんですね。そんな案内人をしていて、大きな課題だな、と思うことはどんなことですか?

移住してきた人に対する、アフターフォローが薄いことですね。

実際に移住者に話を聞くと、出版社などが斡旋する移住促進では、移住が完了した後は特にフォローが無いらしいんです。
やはり移住してからもコミュニティとかその地独特のノウハウとか、フォローは必要になってきます。それを私が、移住者と住民のネットワークを形成していく活動をしています。

そういった意味で言うと、自分のお店でも月一回のイベントを行っているので、それがコミュニティ形成の一端を担っているとも思います。
※「丸信」では月に一回、知り合いのお店を集めて、お祭りのようなイベントを開催。多くの人達が集う場所になっている。

若林さんが経営している「丸信」。毎月多くの方が集まるコミュニティの場所となっている

若林さんが経営している「丸信」。毎月多くの方が集まるコミュニティの場所となっている

 

他の地域では、行政や第三セクターが移住者フォローを行っていることが多いと思いますが、皆野町ではまだ行政自体がそういったフォロー体制を実現できていないので、「まずは自分でやるんだ」という思いでやっています。

また、そういったフォローをしっかりすることで、移住者の口コミも広がると思うんですよ。
やはり、実際に移住した人の声って説得力ありますからね。変に「移住促進!」って行政や私たちが声を上げるより、リアルな声の方がよっぽど響きます。

なので、行政は「移住の仕組み」、つまりハードの部分はできても、移住後のフォローといったソフトの部分はなかなかできない。そこを民間がやっていくのが良いのでしょうね。

こういった、ハードとソフト、行政と民間の取り組みとして、この皆野町三沢地区でモデルケースを作りたいと思っています。ここで形になれば(実績が出来れば)、各地区の行政も動くようになると思うんです。

移住への想いを語る若林さん

移住への想いを語る若林さん

 

―――なるほど。今、若林さんがやっていることは、地元の人とのつながりが強くないとできないことですね。そういった動きをできる人が各地に出てくればいいですね。では、質問を変えて…若林さんが考える、秩父の魅力とは何ですか?

「何もない」ってことが魅力ですね。特に「音」。

実際、今ここで聞こえてくるのは「川の音」、「子どもの話し声」。
そういった、なんてことないその場所にあるものを感じることができます。
空気もいいし、野菜も新鮮なものが簡単に手に入るし。

あとは、都内へのアクセスがものすごくいいところですね。都内までも2時間かかりませんし、在宅ワーカーやリモートワーカーとして働くことも十分可能です。

 

―――確かに。さらに地方の限界集落では、そうはいかないですもんね。
そうそう、仮に都内の会社に勤めるとしても、秩父からの通勤でも始業時間に間に合いますからね。実際に通勤している人も沢山いますよ。

あと、この皆野町での話ですが、実は「学童」が無料なんですよ。
今の子育て世代からしたら、ものすごいメリットです。教育の面でも本当に良い場所なんです。こういった情報をもっと色々な媒体を通して表に出していきたいですね。

 

―――今は皆野町の移住促進として動いてらっしゃいますが、今後は他の街と連携していくようなことは考えていますか?

はい、もちろんです。むしろ、そうなっていかないといけないと思います。

「秩父」という単位でやっていかないとだめですね。なぜなら外の人は「皆野町」「横瀬町」といった自治体単位で見ていないですから。あくまで、『秩父』は『秩父』、その中の自治体がどう分かれているかなんて、関係ないですよね。

ただ、ほかの皆野町でも他の地区でも、「協力はしたいけどどうやったらいいの?」という人がたくさんいます。そういった人たちが動けるように、成功モデルや仕組みを確立して、多くの人に展開していきたいと思うんです。

 

―――今後のビジョンはありますか?
長期的にいろんなことを見ていこうと思っています。

まず、来年移住希望の方がいるので、直近ではその方たちの対応があります。

中期的には、空き家情報の充実。いま集まっている情報はかなり限られていますから。
移住者視点に立った情報をしっかり集めていきたいですね。

その基盤ができた時点で、移住者の住宅契約などもフォローできるようにしていきたいと思っています。場所だけ紹介して、契約は当事者同士でやってね、では移住者も不安になりますからね。安心して契約できるようなフォーマットを確立したいと思っています。

また別軸で、自分がやっている「障害者向けのヨガ」等の障害者支援活動をもっと広めていきたいです。
※若林さんは仲間たちとともに、障害者向けヨガを企画し、定期的に開催をしている。

 

「何もないことが魅力」と語る若林さん。
確かにそうかもしれない、そう僕も思いました。なんてことない日常や目の前にある自然を魅力的に感じることができれば、毎日が幸せになれるんじゃないかなって、思っています。

そんな思いが共通発見できたインタビューでした。
「ちちぶる」では今後も、移住促進のための情報発信も積極的におこなっていきたいと思います。

 

家族で出かけよう!秩父皆野のレイクタウン?「丸信」

2016.09.28
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